設計での最大の課題は、限られた予算を聖堂空間のどの部分に配分するかであった。ここでは後から対応できない躯体空間を優先させ、質実剛健な聖堂建築を目指すことにした。石にしっかり刻まれたロマネスク時代の精神性を意識しつつ、現代における開かれた教会として人々を迎える温かさを感じられることを目指した。聖堂全体の形態の原型は簡素な方形屋根であるが、新しい典礼に必要とされる平面形状で切り取ることにした。その結果動きのあるダイナミックな造形となり、鐘楼と共に教会の存在を示している。設計競技の初期から復活の希望に包まれる光をイメージしていた。正面には岩ガラスを砕いて構成した光の十字架をしつらえた。両袖の壁の小さな窓は12使徒をイメージしたステンドグラス、マリア像の傍のアルコーブには命 の水をイメージしてしつらえた。
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